その時は特に追及することもせずに、過ごしました。
暫くして、その原因が判明しました。
それは・・・
『空手の試合』での出来事が発端でした。
『空手の試合』はその流派の道場が、一同に会して行われます。
その試合会場ではそれこそ、下は3歳ぐらいから上はおじいちゃんに至るまで
さまざまな年齢層の人々が集まります。
その日は冷えたらしく、トイレの混雑は大変なモノでした。
当然のことながら、トイレのスリッパが乱れに乱れ散らかっていたそうです。
ある道場の師範代が用を足していると、1人の少年が現れ
自分は用も足さずに、ひたすらスリッパを並べ始めたそうです。
少年はスリッパを並べているため、下を向いていましたが
道着にはゼッケンが縫い付けてあるので、それを見てその師範代は驚きました。
そのゼッケンには、その師範代がさっき審判をした試合に出場していた子の名が記されていました。
しかも、その子は3本勝負のうちただの1本も取ることもできずに敗れ
悔し涙をこらえながら、最後の一礼をして試合場を後にしたので印象に残っていたそうです。
その子が、誰に言われるでもなく上級生はおろか、大人でさえやろうともしないことを
自らの意思で進んでやっていることに
そして、空手の・・・
いや、武道の基本中の基本であることを身につけていることに甚く感動しました。
その事をその子の通う道場の師範代に告げたそうです。
それが、『ゆーと』の通う道場だったのです。
その出来事を聞いた『ゆーと』・・・
ある日のことです。
小学校で、授業参観がありました。
来校する保護者のため、下駄箱周辺には『スリッパ』が用意されていました。
その『スリッパ』を6年生数人がオモチャにして遊び、散らかしていました。
それを『ゆーと』は、例の一件が頭を過ったのでしょう・・・
ゆーと 『おにぃちゃんたち、スリッパばちゃんとかたずけんばっ!』
6年生 『・・・』
ゆーと 『かたずけんば、いけんとばい。』
6年生 『なんていいよっとかっ、こんチビは!』
といって、『ゆーと』の頭をこづいて立ち去って行きました。
自分が正しいと思ったのに、それを否定されたのが相当悔しかったらしく
家に帰って来てから、何度も繰り返し話したそうです。
両親が『ゆーとは、間違ってないよ』と何度言っても悔しさはそう簡単に消えないらしく
それがこの間の元気のなさの、原因でした。
『ゆーととりゅーせー』はまだ幼く、『空手』を良くてスポーツとしてしか捉えきれていません。
しかし、やがて『空手』を『空手道』として捉えその人生に活かしてくれる日が来ると思います。
もう少し大きくなったら、一緒に『ベスト・キッド』でも見たいものです。