年が明けてからも、師匠・親方・大濠キングの3人組は『なじみのスナック』へ・・・
店のシステムは、90分飲み放題で3,500円である。
採算度外視の金額ではあるが、ママの経営理念の表れでもある。
一味は3,000円にしてくれて、さらに延長料金なしだった。
あるときは、料理自慢のママの特性カレーを500円で振舞った。
しかもその日は、アルコールを一切ださずにカレーのみで勝負した。
師匠に『コクがたりないね。』と指摘され、『次は必ず満点とりますよ。』と笑っていた。
小さい店ではあるが、ママのがんばりと人柄で着実にファンは増えていった。
もう外に出て、手作りのチラシも配る必要も無いほどに・・・
不思議な現象ではあるが、お客さんが飲んでいる時に次のお客さんが来店すると、
時間前であっても、『私たちは帰りますんで、どうぞ!』と席をゆずり、笑顔で帰っていくのだ。
一味も自然とその輪に加わり、店はかなり繁盛していった。
しかし、店にいるのはママと女子大生のアルバイトの二人のままだった。
一味と『なじみのスナック』が出会ってから、1年が経過した頃に転機が訪れる。
店の移転である。
一味の仕事を活かして、精一杯応援する事にした。
開店記念の記念品の制作を受け持つ事にした。
店名入りのライターとボールペンの制作だ。
移転先は、今の2倍以上の広さがある。
今回の内装等は、業者へ依頼となった。
ママから相談があった。
ママ 『今度のお店には、カラオケを置こうと思うとけど・・・どう思う?』
狭い店であることと、歌より会話を大切にしたいとのママの考えから
今の店にはカラオケを置いてなかった。
一味はカラオケがあまり好きではないのと、ママの考え方が好きだったので反対した。
答えはオープンの日までの、お楽しみという事になった。
オープンの日・・・
師匠と大濠キングは、花屋でお祝いの花束を購入し店へと向かった。
店に入ると、すでに満員だった。
ママはこれ以上ないような、笑顔だった。
店の移転にともない、女の子も5人に増えていた。
残念ながら、カラオケは設置されていた。
どちらも経営者として、当然の選択である。
大濠キングはお祝いの言葉と、花束をママに渡した。
二人は席に着く。
お酒が出てくる。
乾杯する。
無言の師匠と、大濠キング。
二人は笑みをうかべて、店の隅から隅まで観察する。
カラオケで歌うお客。
不慣れな対応ながら、一生懸命にがんばるおねぇちゃんたち。
師匠 『先生、行こうか。』
二人は帰ることにした。
ママ 『もっといてくれればよかとに・・・』
大濠キング 『気にしなくていいよ。』
といって、1万円を払った。
ママ 『オープン記念は、店が出すので払わんちゃよかとよ。』
大濠キング 『なーんいいよっとね、とっとかんね。』
大濠キングは、諭吉をママの手に握らせた。
師匠と大濠キングは、店から出た。
師匠 『よかったね。』
大濠キング 『ええ。』
この移転から、何かが終わった。
何かが変わった。
変な胸騒ぎがした。
明日は、『師匠と先生 大奥炎上』です。
さて、『なじみのスナック』の運命は・・・?